この度、 ”スリランカのこどもたちにORIGAMIを。”というタイトルのもと、
スリランカの茶園で働く労働者の人たちのこどもたちに、
保育施設でつかう教材(折り紙”ORIGAMI”やクレヨン、絵本等)を送ろう、という企画をすることになりました。
ことの初めは、今年の8月初旬にいったスリランカでのこと。
思いがけなく幸運にも、茶園内の保育施設に支援で来ていた、
JICAスタッフ横田さんのいる バランゴダ茶園を訪れることができました。
茶園や工場を見学するとともに、
横田さんの住居や勤めている保育園にお邪魔させて頂きました。
長くなりますが、以下お付き合いください。
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スリランカの茶産業は、いまや国益の大きな割合を占める重要な産業になっています。
スリランカの茶業が始まったのは、1870年代頃。
もともとコーヒーの名産地であったスリランカ(当時はセイロンという国名でした。)でしたが、
サビ病の発生により、コーヒーが壊滅状態に陥りました。
当時のスリランカは、イギリスの植民地。
イギリスでの需要が盛んであった紅茶の栽培が、隣国インドでは成功していました。
そこでコーヒーの代わりに、イギリス人が、スリランカでも紅茶の栽培を始め、
茶産業をスタートさせたのがきっかけです。
そして茶業の労働者の確保のため、強制的に連れてこられたのが、
南インドに住んでいたタミール民族の人々でした。
(もともとのスリランカの民族は、シンハラ族になります。)
今でもスリランカには、シンハラ人とタミール人が混在しています。
使用言語も異なりますし、顔だちも明らかに違います。
強制的(騙されて連れてこられたとも聞きました)に茶業の労働者にされたタミール人たちが、
長い時を経た今でも、茶葉を摘み、工場で茶葉の製茶にあたっているのです。
茶葉を摘むのは基本的に女性です。
男性は工場内で働いているか、
遠方の茶園の外まで働きに出るか、もしくは無職です。
女性は編まれたカゴを背負い、ゴロゴロと岩のある
山道や、土の上をひたすら歩き、
山々に広がる茶畑に向かい、茶葉を摘んでは、
工場へ戻る仕事を日々繰り返しています。
想像つかないかもしれませんが、茶園は本当に広く
山岳地帯にあるので、
毎日、重い荷物を背負って山々を歩いているようなのです。
バダンゴダ茶園の一日の茶摘みのノルマは、茶葉18㎏とききました。
それ以下だと罰金、以上だと報酬が得られます。
それで月収が550Rs(ルピー)だそうです。
これでも上がったらしく、前年度は450?Rs(ルピー)だったようで、
この金額がスリランカの茶園労働者では相場になっているらしいのです。
皆さん、ピンとこないでしょうが、スリランカの成人男性の平均月収は
20000Rsとも言われています。
タミールの人たちは、茶園の空いたスペースに畑を作って、サトイモなり、バナナなりを育てて
食を保持してきました。
水は川の水、停電は日常茶飯事です。衛生面の向上などは、余裕もないように思えます。
シンハラ人は、主に茶園の経営の方に携わっています。
明らかに差別は残っていて、住む場所や住居環境、
もちろんこどもたちの通う、保育園や小学校も異なるのです。
保育園の状況はというと、
まず日本でいう倫理観は、まだスリランカにないようで、
こどもに手を上げるのは当たり前だし、物をあちこちに捨てる(ごみを特定の場所に捨てる感覚はない)、
トイレ等衛生状態もひどく、おむつの習慣もないので赤ちゃんの排泄も垂れ流し状態。
茶園の労働者を援助する団体から、栄養補助を兼ねたお菓子みたいなものを支給されるようですが、
昼食もとらない日もあるそうです。
20~25人のこども(0~5歳まで)を2人の保育士さんが見ています。
ただ、こどもたちはそこで時間を過ごす、という事です。
お金もなく、勉強する余裕もないタミール人のこどもたちは、
また結局茶園の労働者になる人生へ・・・というサイクルを繰り返している、
という横田さんの意見でした。
明らかに、おもちゃも教材も完全に乏しい保育園に、
“教材がほしい”という唯一の横田さんからの要望でした。
こどもたちにもっと楽しみを教えてあげたい、という気持ちです。
私は、『何か紅茶でできる小さな支援を』、という考えがあり、
今回この茶園で作られた紅茶をご紹介し、
その売り上げでこどもたちに教材を贈ることにしました。
正直なところ、茶園のオーナーが労働者の生活水準の向上をすれば、
生産性も上がり、茶園に有益ではないのか…と思ってしまったりしますが、
長い間にできあがってしまった差別や風習というのは、
なかなか自主的に解決できる問題ではないのだということも、今回実感しました。
皆さんがどう想像されるかはわかりませんが、
どんな状況下にいても、貧しい将来がこの先待っていても、分け隔てなく
こどもたちの笑顔や楽しい声は、底なしに明るいのです。
教材を贈ることが、どんな好影響を生むかは未知ですが、
喜んでくれると思います。
茶園から出て、自らの人生を切り開けるようなタフさや聡明さ、自信をもつ
きっかけになってくれるといいなあと思います。
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バダンゴダの茶葉は、BLOGやイベントにて販売を近日中に開始する予定です。
ウバ地方に属する、おいしい紅茶です。
どうぞ、よろしくおねがいいたします☆